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商標法と不正競争防止法

商標の保護に関しては、商標法の他に不正競争防止法で保護する事ができます。しかも不正競争防止法で保護される商標は登録された商標以外の商標や、営業表示も含まれます。こうなるともはや商標登録の意味はないかと思われる方もいるかもしれませんがそれは違います。

 

不正競争防止法とは

商標として登録をしていなかったとしても、その商標が世間一般に広く知れ渡っており、著名商標と認められる場合には、これを流用・模倣すると不正競争防止法に抵触することがあります。これは商標に限らず、商品形態、パッケージなどにも当てはまります。

 

なぜならば、商標や意匠として登録をしていなかったとしても、これらは商品やサービスの出所を示し、消費者の判断材料になっているからです。著名な商標、意匠を模倣することは、その商品の提供元や営業主体の混同を招くことになり、消費者の利益、公正な取引の秩序を乱しかねません。このため、不正競争防止法では、このような模倣を不正競争行為として規制しています。

 

商標法や意匠法は知的財産の保護といった面が強いですが、不正競争防止法は消費者の利益保護・競争秩序の面から模倣対策を行っていると言えます。


イソジンのカバくんから見る知的財産法と不正競争防止法

商標法といった知的財産法と不正競争防止法は深い関係にあるのですが、この狭間で揺れ動いたのが明治と塩野義製薬のイソジン訴訟でした。うがい薬のイソジンは1956年にアメリカで開発され、現在はムンディファーマ株式会社がその権利を保有しています。

 

日本では、ムンディファーマ株式会社が明治に技術提携・ライセンス契約をする形で商品展開していました。しかし、このライセンス契約は2016年3月に終了し、4月からは塩野義製薬が国内展開をすることになりました。

この時に問題になったのが、「イソジン」というブランド名とカバのキャラクターの関係です。「イソジン」というブランド名自体は、ムンディファーマ株式会社が登録商標として権利を保有しているのですが、マスコットキャラクターであるカバのキャラクター「カバくん」は明治が権利を保有しているのです。

 

このため、塩野義製薬が「カバくん」に類似したキャラクターを付けたパッケージで新イソジンを売り出すことを明治側は商標法違反として訴え、ムンディファーマはカバのキャラクターを含めたパッケージ全体がイソジンブランドを構築しているとして明治を不正競争防止法違反で訴えるという訴訟合戦に発展してしまったのです。

この訴訟自体は、3月18日付で両社が和解に至り、明治側は引き続きカバのキャラクターを使ったうがい薬を販売継続することになりました。実質的には、明治側に有利な条件で決着が着いたと言えます。

 

イメージキャラクターの権利は難しい

今回のイソジン訴訟は、イメージキャラクターの権利を確定することが難しいことを改めて浮き彫りにしました。このようなイメージキャラクターの知的財産権に関する訴訟は珍しいものではなく、近年でも他にマヨネーズのキューピー社とキューピーの著作権を主張する個人との訴訟もあったところです。

 

訴訟自体はキューピー社の訴訟に終わりましたが、著作物であるキューピーの権利自体は失効しているため、商品のロゴなど商標としてのキューピーはキューピー社しか使えないものの、ご当地キューピーを始めとして著作物としてならば誰でもキューピーを使うことができるのが現状です。

 

商標と一口に言っても、ブランド名・ロゴマークといった文字・図形的な側面が強いものと、キャラクターといった形状・意匠的な側面が強いものと様々なものがあります。イメージキャラクターを保護していくためには、商標法だけではなく、著作権法、不正競争防止法といった法律についてもカバーしておくことが必要となります。

 

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+勝烈庵事件から見る商標法と不正競争防止法

勝烈庵事件から見る商標法と不正競争防止法

前回紹介した勝烈庵事件でも分かるように、不正競争防止法のみの保護では商標を完全に保護する事はできません。仮に勝烈庵の事例でAさんが自身の「勝烈庵」を「飲食の提供」を指定商品・サービスとして登録しておいた場合を考えて下さい。Aさんの「勝烈庵」が商標登録されていたとしたら、Bさんの「かつれつ庵」のみならずCさんの「かつれつあん」も使用を差し止める事ができたはずです。

さらに不正競争防止法の要件をみると、全ての商標が無条件で保護されるわけではありません。勝烈庵の事件でもそうであったように、不正競争防止法で保護をもとめるには、自身の「勝烈庵」の周知性の証明や混同を引き起こすおそれの証明等をする必要があります。これは不正競争防止法で商標を保護しようとする場合、ある程度の周知性がないものでないと保護されないという事を意味します。 これを逆に考えると、有名でない商標・有名であっても混同を引き起こすおそれのない商標は不正競争防止法では保護できないのです。

 

商標登録はなぜ必要なのか?

商標登録は手続が必要で、場合によっては特許庁とのやりとりもあり面倒なイメージがあるかもしれませんが、そのような面倒を強いるからにはそれなりの見返りがあります。つまり商標登録は自身の商標をよりスムーズに確実に守るという見返りのためにしているという面もあるのです。ですからやはり何かを始める際、新商品の良いネーミングを考案した際には商標登録をしておく事が肝心といえます。

このように書くと不正競争防止法は使えない法律のように思われるかもしれませんが、不正競争防止法は商標関係の規定のみならず、不正行為による不公平の是正全般に広く効果を発揮する大切な法律です。ただ商標権との関係においてのみみれば、不正競争防止法はあくまで商標権では保護しきれない範囲を保護するものと認識しておくといいでしょう。

 

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