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任天堂の「マリカー」訴訟における問題点

ゲーム界大手企業とレンタルサービス企業との係争

2017年前半における知的財産権の係争事案はいくつか挙がられますが、その中でも社会的ニュースとなり海外メディアにも報道されたのが「任天堂(株)」と「(株)マリカー」との訴訟問題です。ゲーム機器やソフトの製造企業として今や世界的な名声を博している上場企業の任天堂(株)が、公道カートのサービス会社の(株)マリカーに対し著作権法及び不正競争防止法違反として提訴した事案です。

 

この経緯を簡単に述べると、(株)マリカーは東京の公道を走行できるカート(ミニカー)を貸し出すサービスを行っていたのですが、「マリカー」とは任天堂の人気ゲームキャラクター「マリオ」が乗る「マリオカート」に似ており、客はマリオなどのコスプレをしてカートを走らせ、ゲームの主人公になったような疑似体験ができるというサービスで人気を集めていたものです。

 

任天堂の主張は、『「マリカー」が同社の「マリオカート」を模倣していることは明白であり、マリオのコスプレ写真を宣伝に使用していることで、任天堂が所有する著作権を侵害している上に、この行為は正当な企業間競争を定めた「不正競争防止法」に規定された不当競争行為に該当する』というもので、事業の停止と1千万円の損害賠償を求めて提訴したものです。

 

これに対し(株)マリカー側は、2017年4月の東京地裁での第1回口頭弁論にて、『「マリカー」は当社の社名であると同時に特許庁が認定した当社の登録商標である。当社はカートの販売とメンテナンスをする企業であり、公道のカート走行サービスは別会社が行っており、キャラクターのコスプレ写真なども宣伝には使用していない。したがって、法律違反にはあたらない』と反論し、任天堂の言い分と真っ向から対立し争う姿勢を見せました。

外国での人気と道交法上の問題点

2016年のリオデジャネイロ五輪の閉会式で、次回の開催都市である東京都のパフォーマンスとして安倍首相がマリオに扮して登場した場面は世界中で話題となりました。

 

このようにマリオをはじめとする任天堂のゲームキャラクターは日本のみならず世界中で大人気となっており、ゲーム大国・日本の首都・東京の街をマリオに扮してカートで走るというサービスは外国人観光客に大受けし、実際に客の7割以上が外国人であったともいわれています。「任天堂がマリカーを訴えた」というニュースは外国でも報道され世界の注目を浴びることとなりました。

 

このカートレンタルサービスには、今回の「知的財産権」の係争とは別に「道路交通法」の問題も孕んでいます。問題となったカートは、原付きバイクと自動車との中間にある存在で、法的にはヘルメットもシートベルトも着用義務はなく、車高が極端に低いため事故が起きやすいとの指摘がありました。

 

確かに、マリカーが走行している映像を見ると、先頭と後方のカートには業者が乗って誘導しているとはいえ、車の往来が激しい公道での走行は非常に危険のように感じられます。このようなカート走行サービスが全国で流行し出せば、事故防止の観点からなんらかの法規制が行われる可能性は高いといえます。

「商標法違反」では提訴できないジレンマ

さて、本論である「知的財産権」の問題ですが、実は「(株)マリカー」が「マリカー」の登録商標を取得していることは事実であり、同社は2015年5月に「マリカー」を出願し2016年に6月に登録となっています。同年9月に任天堂は異議申立を行いましたが、2017年1月26日に棄却されたという経緯があります。

 

任天堂はこれを不服として知財高裁への提訴を検討しているようですが、この問題が決着する前に、なんとしても「マリカーの公道走行サービス」を止めさせるべく、著作権侵害と不正競争防止法違反で提訴したというわけです。任天堂(株)としては、肝心の「マリカー」の商標を(株)マリカーに取得されてしまっていることが大きな痛手であり、逆に(株)マリカー側は「マリカーはれっきとした我社の登録商標」という事実があるだけに、同社が提訴されても動じない自信となっているようです。

 

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