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米大手銀行シティグループが「THANKYOU」でAT&Tを商標侵害で提訴

シティグループがAT&Tを提訴

2016年6月10日、アメリカ大手金融グループのシティグループは、同じくアメリカの通信グループ大手のAT&Tを商標権侵害で提訴しました。問題の焦点となっているのは、シティグループが2007年に米国特許商標庁(USPTO)に登録した「THANK YOU」という商標です。

 

商標権侵害に関する訴訟は珍しいものではありませんが、本件で特徴的なのは、「THANK YOU」という一般名詞を使った商標である点と両社が一部ビジネスで提携関係にあるという点です。

 

実は訴訟の当事者であるシティグループとAT&Tは、クレジットカード分野での提携事業を計画しているのですが、AT&Tがそのクレジットカードの中で「AT&T thanks」というトレードマークを使用していることについて、シティグループが問題視したのです。

提携事業の停滞を懸念

同業他社、ライバル社が類似商標を使っていることを商標権侵害として提訴することは珍しくないですが、今回のように提携先を提訴するという案件は見かけることが少ないところです。

 

なぜならば、そのような問題は提携事業を進めていく上での事務調整、話し合いで決着をつけていくことが最もコストが低い解決方法だからです。

 

シティグループの提訴に先立ち、AT&T側でも対抗措置として「AT&T thanks」を商標出願するなど、事態は泥沼化していってます。仮に訴訟によって決着が着いたとしても、ここから関係を修復し、提携事業を前に進めていくのは困難を極めるでしょう。

FinTechビジネスの商標管理からも注目

また、今回の訴訟のもう一つ注目したいのは、「THANK YOU」といった一般名詞を使った商標の権利をどこまで認めるかという点です。通常、一般名詞を使った商標の場合、業種や使用用途が異なっているときは類似商標とは認めないという判断が一般的です。シティグループは金融業、AT&Tは情報通信業と業種は異なっていますが、クレジットカードという決済サービスをどのように扱うのか判断が難しいところです。

 

近年、金融と情報通信技術を融合したFinTechが注目を集めています。電子マネーなど、高度な情報通信技術を用いた決済サービスが一般化していく中で、このようなビジネスの業種をどのように規定するか、隣接業種の商標をどのように保護していくかは課題の一つと言えます。今回のシティグループとAT&Tの間での訴訟結果によっては、Fintechビジネスの商標について、管理手法の見直しが必要となるかもしれません。

 

日本でも今年5月に銀行法法が改正され、銀行の他業禁止規定が緩和、情報通信業界との共同ビジネスを行いやすい環境が整備されたところです。また、資金決済法も改正されたことにより、仮想通貨という新しい決済手段も法的に認められました。

 

今後、金融業界と情報通信業界の事業領域に重なりが生じていく中で、商標出願時の指定役務の考え方も変わっていくのかもしれません。このような面からも、Fintech発祥の地であるアメリカの司法判断に注目していきたいところです。

日本企業も他人事ではない

本件を訴訟大国アメリカならではの案件と考える向きもありますが、決して日本企業にとっても他人事ではありません。経済のグローバル化が進んでいく中でアメリカを含む外資系企業との提携事業は確実に増えていくでしょうし、異業種との連携も生まれてくることでしょう。

 

特に新たな商品・サービスが生まれた際は、法整備が後手に回ることも珍しくないですので、商標調査と提携先との調整を慎重に進めていく必要があるのです。

 

また、国によって商標の権利意識に強弱もありますので、日本企業と同じような感覚で外資系企業と提携事業を計画していくと、今回のシティグループとAT&Tのような事態に陥ってしまうリスクもあります。相手国の法制度、商慣習への理解も深めておく必要があるでしょう。

 

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