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国によって異なる商標法と商標の概念

各国の商標法と商標の概念

長年の懸案事項だった「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)」も2018年3月に日本を含む東南アジア・太平洋側諸国の全11ヵ国で調印され、いよいよ加盟国同士の自由貿易交流がスタートします。

 

TPPの項目には「知的財産権」も含まれることから、これまで各国間で異なっていた法体系の統一化が進み、知財をめぐる国家間トラブルの解消が期待されています。そこで、国によって異なる商標法と商標の概念について考察してみましょう。

TPPにおける登録商標の交渉

TPPは、東南アジアと太平洋側の主要11ヵ国でスタートし、関税撤廃の自由貿易で発生する可能性が高いと予想される特許や商標などの知財に関する取り決めも統一することが各国間のコンセンサスとなっています。米国が不参加を表明している現在の状況では、知財に関してはおそらく日本が主導権を握って交渉が進められることが期待されています。

 

登録商標に関する国際協定では、TPPにさきがけて1996年にスタートし、現在約100ヵ国が参加する「マドリッド協定議定書(マドプロ)」がありますが、こちらの方は外国への商標出願手続きが簡素化されるという国際商標出願制度が協定の骨子となっており、各国間で異なる商標法の概念を統一するという協定ではありません。

続発する中国の商標違反問題

近年日本で問題化している中国による商標違反または違反スレスレの行為について、なかなか歯止めがかからないという問題がありました。なぜ中国でこのような問題が多発するかというと、最大の要因は知財に関する国家的歴史が浅いことが第一に挙げられるでしょう。日本では商標法が制定されて約120年もの歴史があるのに対し、中国はわずか約30年です。日本では難関の国家資格を取得した有資格者である「弁理士」が特許事務所を構えて出願人の代理人となって知財業務をこなしています。

 

これに対し、急速に経済成長を果たした中国では、せっかく導入されていた弁理士制度も廃止されており、商標出願代理業者が代理業務を行っているというのが現状です。独特の社会体制のため、なぜこのような混乱が生じているのかは判然としませんが、おそらく日本並に厳格な資格制度を導入しても、すぐには多くの有資格者が生まれることなはいので、加速する出願件数に対処できないとの判断があったものと推察されます。

「EUTM」と同様な制度の導入に期待

このような現状では、中国企業による「青森」「岡山」など明らかに日本の地名を狙った商標出願が相次ぐのも無理はありません。日本では「健全な社会の秩序の実現」が商標法の根底概念としてあり、特許庁の審査もこの精神に準じて実行されているのですが、中国の現状に鑑みると、出現者・審査官共にこの公共的概念が抜け落ちて、企業の利益優先となっているように見受けられます。

 

さて、TPPによる知財の協定がどのような内容になるのかはまだ判然としませんが、自由貿易の観点から推察すると、EU各国で用いられている「欧州連合商標(EUTM)」が参考になるかもしれません。EUTMの商標制度の最大の特色は、日本の商標法にある「同一または類似商標」の審査がない、という点です。すなわちEUTM加盟国において商標権者の同一または類似の商標が出願された場合、すばやく異議申立を行い、二重登録を防ぐという手立てを講じる必要があるのです。

 

この制度では、常に他国の出願状況に注意を払っておく必要があり、面倒で煩雑のような気がしますが、知らない内に他国で類似商標が登録され慌てるよりは、国家間の混乱を防ぐ方法としてベターかもしれません。TPPにおいてEUTMのような制度が導入されれば、将来中国がTPPに加盟した場合に、現在のような一方的な権利侵害が回避される効果も期待できるからです。

 

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