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中国で日本の地名「弘前」が商標登録されるという深刻な問題

中国では通用しない日本の「常識」

登録商標にはいくつかの要件があり、その要件に抵触する商標が出願されても登録査定とはなりません。仮に一度登録査定を受けたとしても第三者が異議申立てをすることで登録が撤回される場合も少なからずあります。

 

登録商標は特許や意匠とは異なり10年毎に更新できる制度となっており、権利者が商標権の更新手続きを継続する限り何年でも権利が保有できるといういわば「永久権」とも呼ばれています。

 

一度権利化されてしまうと他者がその文字を商用で使うことはできなくなることから、文字商標はロゴマークなどの図柄商標と比較して特許庁の審査官はこれを厳し目に審査する傾向があるといわれています。特に出願された文字商標が「地名」となるとその傾向が顕著になっているようです。

 

商標の登録要件として設定されている「他人の登録商標や周知・著名商標等と紛らわしいもの」に該当し、実在の地名が独占化されてしまうと、公共性から鑑みても出願者以外の一般人に多大な不利益をもたらすからです。

 

たとえば「東京」や「京都」など一般によく知られている地名は登録要件に該当しません。このことは特に商標法の知識がなくても、一般の日本人ならば「常識」として理解していることでしょう。

中国認められた登録商標「弘前」の衝撃

ところが、中国であることか「弘前」という文字商標が出願され2016年5月に登録され公告されたというニュースが飛び込んできました。「弘前」といえば青森県西部に位置する有名都市を思い浮かべない日本人は皆無でしょう。

 

青森市・八戸市に次いで県下第3の都市として知られ、かつては弘前城をいただく弘前藩の城下町として栄え、現在も津軽地方の中心的都市圏として有名な都市でもあります。当然ながら日本では絶対に認められることのない文字商標「弘前」がなぜ中国で特許査定を受けたのでしょうか?

 

実は中国においても、日本と同様に国外でも有名な地名は商標登録されないという規定があります。すなわち、中国人にとって「弘前」の地名には馴染みがなく有名ではないからという理由ですんなりと査定が通ったのだと推察されます。

 

今回中国で出願された「弘前」の商標品目は「コーヒー、茶、菓子」などで、これらに「弘前」の名がついた商品が中国内で流通するとなると、地元の弘前市は中国でのビジネスが成り立たなくなり大打撃を受ける可能性があります。

 

さらに「弘前」の名をあしらった粗悪品が出回ることや弘前市とは全く関係のない商品に「弘前」の名称が付けられ、「弘前ブランド」がイメージダウンとなる恐れも指摘されています。

外交問題に発展する可能性も

事態を重くみた弘前市は、中国の商標局に異議申立を行いましたが、2017年10月に申立却下の裁定がくだり、「弘前」の中国の某企業の商標として独占されることが決定しています。

 

それではなぜ中国企業は国内で知られていない日本の地名を商標出願したのでしょうか?この背景には年々家族する中国人の「日本観光旅行ブーム」があります。数年前までは東京や大阪・京都など特定の観光地に限られていた行き先が、日本全国の地方にも広がってきたという実情があるようです。

 

中国の企業としては、近い将来観光地として有名になる日本の地域名を今のうちに権利化しておけば大きなビジネスチャンスにつながる…という理屈でしょう。

 

世界第2位の経済大国となった近代の中国ですが、急速な経済発展に対し、知的財産権に対する国民の意識がまだ低く、それが官公庁であるはずの商標局の判断にも反映されているといわざるを得ません。

 

今回の一件でこのような問題は今後も続くと考えられ、日本にとっては由々しき社会問題となることでしょう。何事につけても中国共産党政府に意向が優先されるお国柄、最後は日本側との外交案件として解決するしかないのかもしれません。

 

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